Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate

Aozora Bunko

下屋敷まで来て見たが別に変ったこともない。で、その足で浅草へ廻った。

いつも賑やかな浅草は、その日も素晴らしい賑わいで、奥山のあたりは肩摩轂撃、歩きにくいほどであった。

小芝居、手品、見世物、軽業、――興行物の掛け小屋からは、陽気な鳴り物の音が聞こえ、喝采をする見物人の、拍手の音なども聞こえて来た。

「悪くないな。陽気だな」

など、彼は呟きながら、人波を分けて歩いて行った。

と、一つの掛け小屋が、彼の好奇心を刺戟した。「八ヶ嶽の山男」こう看板にあったからで、八ヶ嶽という三文字が、懐しく思われてならなかった。

で彼は木戸を払いつと内へはいって行った。大して人気もないと見えて、見物の数は少かった。ちょうど折悪く幕間で、舞台には幕が下ろされていた。で彼は所在なさに見物人達の噂話に、漫然と耳を傾けた。

「……で、なんだ、山男と云っても、妖怪変化じゃないんだな」職人と見えて威勢のいいのが、こう仲間の一人へ云った。

「そいつで俺らも落胆したやつさ。あたりめえの人間じゃねえか。俺ら、山男というからにゃ、頭の髪が足まで垂れ、身長の高さが八尺もあって、鳴く声鵺に似たりという、そういう奴だと思ってたんだが、篦棒な話さ、ただの人間だあ」