Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate

Aozora Bunko

そうして憎い多四郎へお母さんの怨みを返しておくれ」

こう云ってしまうと山吹はいかにも安心したようにさも平和に眼をとじた。そうしてそれから二日ばかり活きたが三日目の朝には息絶えていた。

五歳の猪太郎はその日以来全く孤児の身の上となった。しかし彼は寂しくはなかった。猿や狼や鹿や熊が彼を慰めてくれるからである。

こうして彼の生活は文字通り野生的のものとなり、食物と云えば小鳥や果実、飲料と云えば谷川の水、そうして冬季餌のない時は寂しい村の人家を襲い、鶏や穀物や野菜などを巧みに盗んで来たりした。

こうしてまたも五年の月日が倏忽として飛び去った。そうして猪太郎は十歳となったがその体の大きさは十八、九歳の少年よりももっと大きくもあり逞しくもあり、その行動の敏活とその腕力の強さとは真に眼覚ましいものであった。且つ彼の頭脳のよさ! これも正しく驚くべきもので、まことに彼は窩人の血と城下の人間の血とを継ぎ、荒々しい自然界に育てられたところの不思議な生物と云うべきであったが、この猪太郎こそこの物語すなわち「八ヶ嶽の魔神」というこの物語の主人公なのである。

いでや作者は次回においては、この猪太郎の身の上について描写の筆を進めると共に、全然別種の方面に当たって別様の事件を湧き起こさせ、波瀾重畳幾変転、わが親愛なる読者をして手に汗