Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate

Aozora Bunko

を握らしめようと思う。

これまで書き綴った物語はほんの全体の序曲に過ぎぬ。次回から本題へ入るのである。

高遠城下の巻

一

「先生、いかがでございましょう? すこしはよろしいのでございましょうか?」

「さよう、よいかも知れませんな」

「よろしくないのでございましょうか?」

「さよう、よくないかも知れませんな」

「では、どちらなのでございましょう?」

「さよう」

と云ったまま返辞をしない。

奥方お石殿は不安そうにじっとその様子を見守っている。それからまたも聞くのであった。

「先生、いかがでございましょう? すこしはよろしいのでございましょうか?」

「さよう、よろしいかもしれませんな」

「よろしくないのでございましょうか」

「奥!」

と良人弓之進は見兼ねて横から口を出した。

「先生には先生のお考えがある。そういつまでもお尋ねするはかえって失礼にあたるではないか」

「はい。失礼致しました」お石はそっと涙を拭きつつましく後へ膝を退けた。

部屋の中がひとしきり寂然となる。

「ちょっとお耳を……」

と云いながら蘭医北山が立ったので続いて弓之進も立ち上がった。二人は隣室へはいって行く。