Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate

Aozora Bunko

「あまり奥方がご愁嘆ゆえ申し上げ兼ねておりましたが、とても病人は癒りませんな」

「ははあ、さようでございますかな。定命なれば止むを得ぬこと」

「蘭学の方ではこの病気を急性肺炎と申します。今夜があぶのうございますぞ」

「今夜?」とさすがに弓之進も胆を冷やさざるを得なかった。

「いずれ後刻、再度来診」

こう云って北山の帰った後は火の消えたように寂しくなった。

二人の中の一粒種、十一歳の可愛い盛り、葉之助は大熱に浮かされながら昏々として眠っている。

「もし、ほんとに死にましょうか?」お石はほとんど半狂乱である。

「天野北山は蘭医の大家、診察投薬神のような人物、死ぬと云ったら死ぬであろう」弓之進も愁然と云う。

二人は愛児の枕もとからちょっとの間も離れようとはしない。

「それでもあなた、この葉之助は、授り児ではございませぬか」お石は咽びながらまた云い出す。「ご一緒になってから二十年、一人も子供が出来ないところから、荒神様ではあるけれど、諏訪八ヶ嶽の宗介天狗様へ、申し児をせいと人に勧められ、祈願をかけたその月から不思議に妊娠って産み落としたのが、この葉之助ではございませぬか。