Classici giapponesi con furigana
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めいどこうしんきょく
冥土行進曲
夢野 久作
Leggi 冥土行進曲 (めいどこうしんきょく) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.807 caratteri · 50 schermate
間もなく長い房々した髪毛の蔭からポタポタと涙を滴らし初めた。
……妙な奴だ。私は寝台の中から半身を起した。
私とは正反対のスラリとした痩型の弟である。永い間、私の月給に縋って、ついこの頃銀時計の医学士になって、このQ大学のレントゲン室に出勤している者であるが、タッタ一人の骨肉の兄である私の貧乏に遠慮して、今だに背広服を作り得ずに、金釦の学生服のままで勤務している純情の弟……恋愛小説の挿画みたような美青年の癖に、カフェエなんか見向きもしない糞真面目な弟……そいつが何か悪い事でもしたかのように私の前にうなだれてメソメソ泣いているから、おかしい。
私は又、その弟と正反対に小さい時から頑丈な体格で頭が頗る悪い。早稲田文学士の肩書を持ちながら柔道五段の免状を拾っているお蔭で、辛うじてこのQ大の柔道教師の職に喰い下っている武骨者であるが、ツイこの頃軽い胃潰瘍の疑いで、Q大附属のこの病室に入院した。ところが、その胃潰瘍が程なく全快して、出血が止ったので念のために、この胃潰瘍が癌になっているかいないかを調べる目的でX光線にかかって、レントゲン主任の内藤医学士から「異状無し」