Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふゆのはなび

冬の花火

太宰 治

Leggi 冬の花火 (ふゆのはなび) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.986 caratteri · 44 schermate

Aozora Bunko

帰るより他は無いじゃないの。

(あさ) あたしがこんなに寝たきりになってもかい。

(数枝) お母さんの病気なんか、すぐなおるわよ。そりゃ、なおるまでは、やっぱりあたし、お父さんがどんなに出て行けって言ったって、この家に頑張ってお母さんの看病をさせていただくつもりだけど。

(あさ) 何年でもかい。

(数枝) 何年でもって、(笑って)お母さん、すぐなおるわよ。

(あさ)(首を振り)だめ、だめ。あたしには、わかっています。数枝、あたしにもしもの事があったら、お前は、お父さんひとりをこの家に残して東京へ行くのですか。

(数枝) もう、いや。そんな話。(顔をそむけて泣く)もしも、そうなったら、もしも、そうなったら、数枝も死んでしまうから。

(あさ)(溜息をついて)あたしはお前を、世界で一ばん仕合せな子にしたかったのだけど、逆になってしまった。

(数枝) いいえ、あたしだけが不仕合せなんじゃないわ。いま日本で、ひとりでも、仕合せな人なんかあるかしら。あたしはね、お母さん、さっきこんな手紙を書いてみたのよ。(ふところから先刻書きかけの手紙を取り出し、小さくはしゃいで)ちょっと読んでみるわね。