Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

Leggi 凡人伝 (ぼんじんでん) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 98.944 caratteri · 202 schermate

Aozora Bunko

と或日申入れた。

「何だい?」

「君は老河原の家へ時々遊びに行くね?」

「行くよ」

「あんな老ぼれと何か共鳴するところがあるのかい?」

「何ってこともないが、親切にしてくれるからさ」

「僕は不親切かい?」

「そんなことはないよ」

「それじゃ何故僕のところへ来てくれない?」

「何故ってこともないけれど」

「なければ来給え」

「行こう」

「今日これから来い」

「来いは厳しいね」

と私は笑ったが、少し怖かった。柴田君は大男で、いかつい面構えをしている。近頃、多年の宿望が叶って、中学校長になった。澄まし返っているが、錚々館当時はナカ/\荒かった。

私はその日学校の帰りにお供をして行った。顔出しをしなかったのを根に持っているのかと思ったが、然うでもない。招待することに定めてあったと見えて、細君が支度をして待っていた。

「これは鹿の子といって僕の妻だ」

と柴田君が念入に紹介した。私は夕飯の御馳走になりながら鹿の子さんを八十五点とつけた。しかし他の細君では仕方がない。

「何うだい?」

「何が?」

「あれさ」

「どれ?」

と私は見上げた。長押に「比翼連理」という横額がかゝっている。墨痕未だ新しい。