Classici giapponesi con furigana
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
Leggi 凡人伝 (ぼんじんでん) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 98.944 caratteri · 202 schermate
と訊いた。
「さあ」
「同僚の人から縁談を勧められはしないかね?」
「いゝえ、一向」
「話が始まったら、直ぐに知らしておくれよ」
「それは無論です」
「お前の気に入れば、それで宜いようなものゝ、私達にも私達で又相応考えがあるんだから」
「御安心下さい。必ず御相談申上げます。しかし未だ/\前途遼遠でしょう。この際小成に安んじてしまいますと、一生の計画が違って来ます」
と私は答えた。
任地へ戻ってから間もなくのこと、或日学校に何かの会があって、職員一同と生徒の一部が剣道部に集った。然う/\、道場新築祝いだった。その折、余興に琵琶があった。忘れもしない。敦盛が熊谷に討たれるところだった。
「河原君」
と柴田君が私の耳へ口を寄せて囁いた。
「何ですか?」
「老河原さんを見給え」
「え?」
と私は振り返った。
「涙をホロ/\こぼしている」
「成程ね」
「あれは敵の御大将の脚を切ったことを思い出して、世の中の無情を感じているんだよ」
と柴田君は冗談を言った。
その帰途、私は例によって老河原さんと一緒だったから、
「河原先生は琵琶がお好きですか?」
と訊いて見た。
「好きでも嫌いでもありません」