Classici giapponesi con furigana
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とねのしゃくあゆ
利根の尺鮎
佐藤 垢石
Leggi 利根の尺鮎 (とねのしゃくあゆ) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6342 caratteri · 13 schermate
釣り人は、まるで夢中だ。下流へ走りに走って、ようやく手網へ抜き取ったあとでも、しばらく心臓の鼓動はやまない。そして、この辺は水源に近く雪橋から滴り落ちる水も、長い時間太陽の恵みを得ていないから、温度が低いのである。土用の最中でも、水へ立ち込むと、ひやりとする。だから、鮎が丈夫なのだ。
月夜野橋から上流には西海子前、長どぶ、病院裏、地獄などの釣り場があるが、地獄の滝も凄寒を催す眺めである。
水上温泉から二里下流の小松に、東電の発電所が竣成したのは、随分古い昔である。小松に発電所ができてからは、天然鮎ではその放水路まで達するのが、最も長い旅を続けたことになる。
私は、月夜野橋の下流の瀬が、竜宮の崖に突き当たった落ち込みで、百匁以上の鮎を釣ったことがある。ついに取るには取ったが、私はその鮎と囮鮎を入れてしまうと、河原に尻餅をついて長い間、溜め息を吐いていた。
後閑の対岸で、本流へ合するのは、谷川の渓水を集めて下りきたった赤谷川である。赤谷川は、水温が割合に高いために、後閑まで旅してきた本流の鮎は、この支流へは、遡上しなかった。
赤谷川は、下流から中流へかけては、山女魚専門の川である。