Classici giapponesi con furigana
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ひみつ
刺青・秘密
谷崎 潤一郎
Leggi 刺青・秘密 (ひみつ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.935 caratteri · 66 schermate
だからその代り小母さんの事を姉さんと呼ばしてくれませんか。ねえ、小母さん、これから小母さんの事を姉さんと云ったっていいでしょう」
「なぜだい? なぜお前はそんな事を云うのだい?」
その時女は、すすきの穂のように細い眼をしみじみと私の顔に注いで云った。
「だって私には姉さんのような気がしてならないんですもの。きっと小母さんは私の姉さんに違いない。ねえ、そうでしょう? そうでなくっても、これから私の姉さんになってくれてもいいでしょう」
「お前には姉さんがある訳はないじゃないか。お前には弟と妹があるだけじゃないか。―――お前に小母さんだの姉さんだのと云われると、私は猶更悲しくなるよ」
「それじゃ何と云ったらいいんです」
「何と云うって、お前は私を忘れたのかい? 私はお前のお母様じゃないか」
こう云いながら、女は顔を出来るだけ私の顔に近づけた。その瞬間に私ははっと思った。云われて見れば成る程母に違いない。母がこんなに若く美しい筈はないのだが、それでもたしかに母に違いない。どう云う訳か私はそれを疑うことが出来なかった。私はまだ小さな子供だ。だから母がこのくらい若くて美しいのは当り前かも知れない、と思った。