Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こくこく

刻々

宮本 百合子

Leggi 刻々 (こくこく) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.401 caratteri · 73 schermate

Aozora Bunko

十六日留置場の看守は交代せず、話しかけられるのを防ぐつもりか、小テーブルに突伏して居眠りばかりしていた。

数日経って特高へ出されると、主任が、

「どうです!」

と、煙草のヤニのついた歯を出してにやにやした。

「ききましたか?」

「……犬養さんが殺されたって?」

「何しろ、撃てッ! と号令をかけてやったんだそうだからなあ……」

意味深長に、威脅的に云った。

「どうも世の中の方はどんどん進んで行くね、あなたもそうやって坐ってるうちに、いつの間にかおいてきぼりをくいますよ、ひ、ひ、ひ」

新聞を見せて呉れというと、わざと軍人テロリスト団が首相官邸へ乱入したところ、狙撃したところの書いてある部分だけを一枚よこした。そして、頻りに、

「これは私の老婆心からだが、あなたなんぞもここで大いに将来を考える時だね、この様子じゃ、決して楽観は出来ませんよ……やるなら死ぬ覚悟だ」

と云い、そういう時は、特別声を潜め、言葉をひきのばして云うのである。

当日軍人テロル団が撒いたというビラを見た。それは田舎の中学生のような空虚な亢奮した文体で書かれ、資本家財閥の打倒! 生産の国家管理! 階級なき新日本の創設! などとスローガンが並べられ、人民を武装蜂起に挑発している。