Classici giapponesi con furigana
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ぜんしょう
前哨
黒島 伝治
Leggi 前哨 (ぜんしょう) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8857 caratteri · 18 schermate
それは偵察隊だった。前哨線へ出かけて行くのだ。浜田も、大西も、その中にまじっていた。彼等は、本隊から約一里前方へ出て行くのである。
樹木は、そこ、ここにポツリ/\とたまにしか見られなかった。山もなかった。緩慢な丘陵や、沼地や、高粱の切株が残っている畠があった。彼等は、そこを進んだ。いつのまにか、本隊のいる部落は、赭土の丘に、かくれて見えなくなった。淋しさと、心もとなさと、不安は、知らず知らず彼等を襲ってきた。だが彼等は、それを、顔にも、言葉にも現わさないように痩我慢を張っていた。
支那兵が、悉く、苦力や農民から強制的に徴募されて、軍閥の無理強いに銃を持たされているものであることは、彼等には分りきっていた。それは、彼等と同じような農民か、でなければ労働者だった。そして、給料も殆んど貰っていなかった。しかし、彼等には、やはり、話にきいた土匪や馬賊の惨虐さが頭にこびりついていた。劣勢の場合には尻をまくって逃げだすが、優勢だと、図に乗って徹底的な惨虐性を発揮してくる。そういう話が、たった八人の彼等を、おびやかすのだった。本隊を遠く離れると、離れる程、恐怖は強くなって、彼等は、もう、たゞ彼等だけだと感じるようになった。