Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんきょう

剣侠

国枝 史郎

Leggi 剣侠 (けんきょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.961 caratteri · 310 schermate

Aozora Bunko

崩れた髪、乱れた衣裳、彼女の姿は狂女そっくりであった。発作の止まない間中は、狂女と云ってもいいのであった。

長い小高い堤があった。

よじ上って歩いて行った。

向こう側の斜面には茅や蘆が、生い茂り風に靡いている、三間巾ぐらいの川があり、水がゆるゆると流れていた。

「あッ」

源女は足を踏み辷らせ、ズルズルと斜面を川の方へ落ちた。パッと葦切が数羽飛び立ち、烈しい声で啼いて去った。と、蘆を不意に分けて、古船が一隻辷り出た。源女がその中に倒れている。

纜綱を切らした古船は、源女を乗せたまま流れて行く。

源女は微動さえしなかった。

各自の運命

1

高萩村に近い森の中まで、陣十郎を追って来た鴫澤主水は、心身全く疲労し尽くし、ほとんど人心地を覚えなかった。

抜身を地に突き体を支えたが、それにも堪えられずクタクタ倒れた。

とうに陣十郎は見失っていた。

その失望も手伝っていた。

(残念、逸した、敵を逸した!)

(が、飽くまでも探し出して、……)

立ち上ろうと努力した。

が、躰はいうことをきかず、のみならず精神さえ朦朧となった。

こうして杉や桧や槇や、楢などの喬木に蔽われて、その奥に朱の褪せた鳥居を持ち、その奥に稲荷の祠を持ち、日の光も通して来ず、で薄暗い風景の中に、雀や鶸や山雀や山鳩の、啼声ばかりが繁く聞こえる、鎮守の森に包まれて