Classici giapponesi con furigana
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けんきょう
剣侠
国枝 史郎
Leggi 剣侠 (けんきょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.961 caratteri · 310 schermate
傍に引き添っていた浪之助も、これはおかしいと思った程である。
面喰ったらしい取次の武士は、
「は、ご尤もには存じますが、主人こと事実江戸へ参り、今に帰宅いたしませねば……」
「さようか、よろしい、事実不在、――ということでござるなら、又参るより仕方ござらぬ。……なれどこのまま帰っては、三度も参った拙者の腹の虫、ちと納まりかねるにより、少し無礼とは存じ申すが、表にかけられた門札を、お預かりして持ちかえる。逸見殿江戸よりご帰宅なさらば、この旨しかとお伝え下され。宿の小紅屋に滞在まかりある。ご免」というと踵を返し、門を出ると門の柱に「甲源一刀流指南」と書いた、二寸厚さの桧板、六尺長い門札を外し、小脇に抱えて歩き出した。
呆れ返ったのは浪之助で、黙々として物も云わず、要介の後から従いて行った。
村とはいっても小川村は、宿場以上の賑いを持った、珍らしく豊かな土地であって、道の両側には商店多く、人の往来も繁かった。そういう所を立派な武士が、大門札を引っ抱え、若い武士を供のように連れて、ノッシノッシと歩いて行くのであった。店の人達は審かしそうに覗き、往来の人達も不思議そうに眺めた。