Classici giapponesi con furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Leggi 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.262 caratteri · 243 schermate
「その上に斯ういう問題で犬馬の労を執って貰うんだから、僕は将来君に頭の上らないようにして置くのが礼儀だと思うんだ。一札認めよう」
「それにも及ばない。反古紙よりも精神だ」
「その精神さ。今こそこの通り恐縮しているけれど、世話になってしまえば又恩を忘れるかも知れない。人間ってものは勝手なものだぜ」
「おい。頭を上げろよ」
「上らないんだよ、本当のところ。僕は自分ながらツク/″\持て余す」
「これは驚いた」
「何うして宜いんだか分らない。結局、僕は何処か少し人間が足りないのかも知れないね」
「本音だよ」
と僕は満足した。これだけ思い当らせれば溜飲が下る。赤裸々の菊太郎君だった。
「不料簡を起さないように後日のため一札入れて置く」
「心持が通じていれば宜いんだよ」
「いや、今は通じていても、又忘れる日が来る。その時の用心さ。斯ういうことは思い立った刹那が好い。こゝで書こう。君、硯箱と紙だ」
と菊太郎君は手を鳴らした。自分の家と間違えている。
作文の拙い男もお嫁さんを貰いたい一心は恐ろしい。筆を執るより早く、スラ/\と書き始めた。暢達、流るゝが如きものがあった。僕はこんなに緊張した菊太郎君を見たことがなかった。