Classici giapponesi con furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Leggi 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.262 caratteri · 243 schermate
偉人の伝記を見ると、三つ四つの頃のことを覚えているぜ」
「然うさな。学校へ上らない頃のことゝいうと……成程、多少覚えているよ」
「努力して見給え。遡って思い出せるほど、偉人の資格があるんだ。目を瞑って、よく考えて見給え」
「よし/\、君と豊子が僕の家の縁側で綾取りをしていた時……」
「君、君」
「うむ?」
「茶碗が危い」
「大丈夫だ」
「目を開いている方が宜い」
「君と豊子が……」
「君自身のことの方が宜いんだよ」
「僕自身のことだけれど、君と豊子が僕の家の縁側で……」
「君」
「オホヽヽヽ」
と妻が笑い出したので、菊太郎君は目を半眼に見開いた。僕の注意が漸く分ったのらしい。
「何だい? 幽香子」
と僕は薄氷の気味だった。
「私、お話のお邪魔になるといけませんから、下へ参りますわ」
「一向構わないよ」
「でも」
「宜いじゃないか?」
「いゝえ」
「お前がいる方が弾むんだよ」
「それじゃ伺わせていただきましょう。丁度奥さまもお見えになったようですから」
「妻が来るんですか?」
と菊太郎君はもう気が散ってしまった。
「はあ。この通り。オホヽヽヽ」
と幽香子は帯留の金具を押えて見せて、急いで下りて行った。