Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちよこ

千世子

宮本 百合子

Leggi 千世子 (ちよこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 83.104 caratteri · 164 schermate

Aozora Bunko

従ってかなり古い時に生れた私達には想像する事の出来ない感情、事柄が文学の上にも現れて来るからあんまりあけっぱなしの様に思われたり刺撃がつよかったりするんでしょう……」

「そうでしょうかねえ、あの何とか云う人の『死の勝利』なんてまるで道徳を無視して居るじゃありませんか、それにサ、恋した女なら夢中で恋して居ればいいじゃありませんか、それだのにあんな自分の女をあっちこっちからのぞいてサ、一人でうれしがったり怒ったり、若い娘のよむはずの第一ものじゃないじゃありませんか」

「あの時もそう云ったんですけどネエ」

千世子はいくたび云っても甲斐のない事だと云った様な少しはなにかかった声で云った。

「文学なんて云うものは道徳の上から見てもどっから見ても欠点のない、どんな人にでも見せてさしつかえのないものならそれはほんとうにととのったものには違いありませんけど、人間にはそう人はありにくいもんですものねえ、そいで又人には各々の特別な感情なり性質なりをもって居るもんですもの中々そう云う風には行きませんわ。孔子様の伝を書いても耶蘇の一代記を書いても、そりゃあ材料は欠点のないものですワ、どっから見てもネエ、けれ共、それを書いた結果が不成功だったら、ほんとうの純文学の価値はないでしょう。