Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちよこ
千世子
宮本 百合子
Leggi 千世子 (ちよこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 83.104 caratteri · 164 schermate
それからそれへとうつって行く話に、亢奮しやすい千世子はあたり前の事を話して居るのに一つ一つ言葉が心のそこにしみ込んだ様に涙ぐんで居た。Hや母親は自分達の若かった頃の事を話して、
「ほんとうにこの人なんか幸福なもんですねえ、一日よんだり書いたりばっかりして居たって『困ってしまうねえ』って云われる位のもので寒中の水のつめたさなんて一寸だって知らないんでしょうねえ」
母親はこんな事を云って、着ぶくれて富らしい顔つきをして足をのんきらしくふって居る自分の娘を見た。
「ほんとうに千世子さんなんか幸福なんですよ、ねえ奥さん世の中に悲しい思い辛い思いをしない人がありましょうかねえ……」
Hは何か急に思い出された様な、又痛いところにさわられた様な目つきをして云った。
「そりゃあ貴方、ないにきまってますよ、どんな富だ人だって尊い人だってそういう事はありましょう。悲しい辛い事があればこそうれしい事、たのしみな事が出来て来るんですものねえ。そうじゃあありませんか?」
「ねえHさん、先私がつまらなくってしようがないと云った時に、今と同じ事貴方は教えて下さったじゃあありませんか、うれしい事でも悲しい事でもを強く感じて居られる間が幸福ですわ。