Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate

Aozora Bunko

上流の方には、高い釣橋が多いが、ここへ来ると舟橋も見られる。

そのうちに乗客が集って来た。私達は雪の積った崖に添うて乗場の方へ降りた。屋根の低い川船で、人々はいずれも膝を突合せて乗った。水に響く艪の音、屋根の上を歩きながらの船頭の話声、そんなものがノンキな感じを与える。船の窓から眺めていると、雪とも霙ともつかないのが水の上に落ちる。光線は波に銀色の反射を与えた。

こうして蟹沢を離れて行った。上今井というところで、船を待つ二三の客が岸に立っていた。船頭はジャブジャブ水の中へ入って行って、男や女の客を負って来た。砂の上を離れる舟底の音がしたかと思うと、又た艪の音が起った。その音は千曲川の静かな水に響いてあだかも牛の鳴声の如く聞える。舟が鳴くようにも。それを聞いていると、何とでも此方の思った様に聞えて、同行のIの苗字を思出せばそのように、Kの苗字を思出せば又そのように響いて来る。無邪気の娘達は楽しそうに聞き入った。両岸は白い雪に包まれた中にも、ところどころに村々の人家、雑木林、森なぞを望み、雪仕度して岸の上を行く人の影をも望んだ。その岸の上を以前私が歩いた時は、豆粟などの畠の熟する頃で、あの莢や穂が路傍に垂下っていた。