Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate

Aozora Bunko

連添う老婦人もなかなかのエラ者だ。この人達は古い大きな寺院を経営し、年をとっても猶活動を忘れないでいるという風だ。その寺では、丁度檀家に法事があるとやらで、御画像というものを箱に入れ鄭重な風呂敷包にして借りて行く男なぞを見かけた。一寸したことだが、古風に感じた。

君は印度に於ける仏蹟探検の事実を聞いたことがあるか。その運動に参加した僧侶の一人は、この老僧の子息さんで、娘の婿にあたる学士も矢張一行の中に加わった人だ。学士は当時英国留学中であったが、病弱な体躯を提げて一行に加わり、印度内地及び錫蘭に於ける阿育王の遺跡なぞを探り、更に英国の方へ引返して行く途中で客死した。この学士の記念の絵葉書が、沢山飯山の寺に遺っていたが、熱帯地方の旅の苦みを書きつけてあったのなぞは殊に、私の心を引いた。老僧の子息さんは兵役に服しているとかで、その人には私は逢ってみなかった。旧い朽ちかかったような寺院の空気の中から、とにかくこういう新人物が生れている。そしてそういう人達の背後には、親であり又た舅姑である老僧夫婦のような人達があって、幾十年となく宗教的な生活を送って来たことが想像される。