Classici giapponesi con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate
だけれども世間の人はそう言わない。そこがねえ辛いと言うもんです」
古い洋傘の毛繻子の今は炬燵掛と化けたのを叩いて、隠居は掻口説いた。この人の老後の楽みは、三世相に基づいて、隣近所の農夫等が吉凶を卜うことであった。六三の呪禁と言って、身体の痛みを癒す祈祷なぞもする。近所での物識と言われている老農夫である。私はこの人から「言海」のことを聞かれて一寸驚かされた。
「昔の恥を御話し申すんじゃないが、私も若い時には車夫をしてねえ、日に八両ずつなんて稼いだことが有りましたよ。八両サ。それがねえ、もうぱっぱと湯水のように無くなって了う。どうして若い時の勢ですもの。私はこれで、どんなことでも人のすることは大概してみましたが、博奕と牢屋の味ばかしは知らない――ええこればかしは知らない」
こう隠居が笑っているところへ、黄な真綿帽子を冠った五十恰好の男が地味な羽織を着て入って来た。
「定屋さんですよ」と辰さんが呼んだ。
地主は屋の内に入って炬燵に身を温めながら待っていた。私が屋外の庭の方へ出ようとすると、丁度水車小屋の方から娘が橋を渡って来て、そこに積み重ねた籾の上へ桝を投げて行った。