Classici giapponesi con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate
番頭は盃を啣んで、「さあ誰でも来い」という顔付をした。「お貸しなさい、敵打だ」と主人は飛んで出て、番頭を相手に差し始める。どうやら主人の手も悪く成りかけた。番頭はぴッしゃり自分の頭を叩いて、「恐れ入ったかな」と舌打した。到頭主人の敗と成った。復た二番目が始まった。
階下では、大きな巾着を腰に着けた男の児が、黒い洋犬と戯れていたが、急に家の方へ帰ると駄々をコネ始めた。小僧がもてあましているので、仕立屋も見兼ねて、子供の機嫌を取りに階下へ降りた。その時、私も庭を歩いて見た。小手毬の花の遅いのも咲いていた。藤棚の下へ行くと、池の中の鯉の躍るのも見えた。「こう水があると、なかなか鯉は捕まらんものさネ」と言っている者も有った。
池を一廻りした頃、番頭は赤い顔をして二階から降りて来た。
「先生、勝負はどうでしたネ」と仕立屋が尋ねた。
「二番とも、これサ」
番頭は鼻の先へ握り拳を重ねて、大天狗をして見せた。そして、高い、快活な声で笑った。
こういう人達と一緒に、どちらかと言えば陰気な山の中で私は時を送った。ポツポツ雨の落ちて来た頃、私達はこの山荘を出た。番頭は半ば酔った調子で、「お二人で一本だ、相合傘というやつはナカナカ意気なものですから」