Classici giapponesi con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate
ファラリイスの血を分けた当歳が三十四頭という呼声に成りました。殿下の御喜悦は何程でしたろう。到頭野辺山が原へ行啓を仰せ出されたのです」
以前私が仕立屋に誘われて、一夜をこの八つが岳の麓の村で送ったのは、丁度その行啓のあるという時だった。
静かな山村の夜――河水の氾濫を避けてこの高原の裾へ移住したという家々――風雪を防ぐ為の木曾路なぞに見られるような石を載せた板屋根――岡の上にもあり谷の底にもある灯――鄙びた旅舎の二階から、薄明るい星の光と夜の空気とを通して、私は曾遊の地をもう一度見ることが出来た。
ここは一頭や二頭の馬を飼わない家は無い程の産馬地だ。馬が土地の人の主なる財産だ。娘が一人で馬に乗って、暗い夜道を平気で通る程の、荒い質朴な人達が住むところだ。
風呂桶が下水の溜の上に設けてあるということは――いかにこの辺の人達が骨の折れる生活を営むとはいえ――又、それほど生活を簡易にする必要があるとはいえ――来て見る度に私を驚かす。ここから更に千曲川の上流に当って、川上の八カ村というのがある。その辺は信州の中でも最も不便な、白米は唯病人に頂かせるほどの、貧しい、荒れた山奥の一つであるという。