Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate

Aozora Bunko

私達が着いたと聞いて、仕立屋の親類に成る人が提灯つけて旅舎へ訪ねて来た。ここから小諸へ出て、長いこと私達の校長の家に奉公していた娘があった。

その娘も今では養子して、子供まであるとか。こういう山村に連関して、下女奉公する人達の一生なぞも何となく私の心を引いた。

君はまだ「ハリコシ」なぞという物を食ったことがあるまい。恐らく名前も聞いたことがあるまい。熱い灰の中で焼いた蕎麦餅だ。草鞋穿で焚火に温りながら、その「ハリコシ」を食い食い話すというが、この辺での炉辺の楽しい光景なのだ。

高原の上

翌朝私達は野辺山が原へ上った。私の胸には種々な記憶が浮び揚って来た。ファラリイスの駒三十四頭、牝馬二百四十頭、牡馬まで合せて三百余頭の馬匹が列をつくって通過したのも、この原へ通う道だった。馬市の立つというあたりに作られた御仮屋、紫と白との幕、あちこちに巣をかけた商人、四千人余の群集、そんなものがゴチャゴチャ胸に浮んで来た。あの時は、私は仕立屋と連立って、秋の日のあたった原の一部を歩き廻ったが、今でも私の眼についているのは長野の方から知事に随いて来た背の高い参事官だ。