Classici giapponesi con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate
気の遠くなるような黒土の臭気は紛として、鼻を衝くのでした……板橋村を離れて、旅人の群にも逢いました。
高原の秋は今です。見渡せば木立もところどころ。枝という枝は南向に生延びて、冬季に吹く風の勁さも思いやられる。白樺は多く落葉して高く空に突立ち、細葉の楊樹は踞るように低く隠れている。秋の光を送る風が騒しく吹渡ると、草は黄な波を打って、動き靡いて、柏の葉もうらがえりました。
ここかしこに見える大石には秋の日があたって、寂しい思をさせるのでした。
「ありしおで」の葉を垂れ、弘法菜の花をもつのは爰です。
「かしばみ」の実の落ちこぼれるのも爰です。
爰には又、野の鳥も住み隠れました。笹の葉蔭に巣をつくる雲雀は、老いて春先ほどの勢も無い。鶉は人の通る物音に驚いて、時々草の中から飛立つ。見れば不格好な短い羽をひろげて、舞揚ろうとしてやがて、パッタリ落ちるように草の中へ引隠れるのでした。
外の樹木の黄に枯々とした中に、まだ緑勝な蔭をとどめたところも有る。それは水の流を旅人に教えるので、そこには雑木が生茂って、泉に添うて枝を垂れて、深く根を浸しているのです。
今は村々の農夫も秋の労働に追われて、この高原に馬を放すものも少い。