Classici giapponesi con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate
私達はところどころにある茶色な楢の木立をも見て通った。それが遠い灰色の雲なぞを背景にして立つさまは、何んとなく茫漠とした感じを与える。原にある一筋の細い道の傍には、紫色に咲いた花もあった。T君に聞くと、それは松虫草とか言った。この辺は古い戦場の跡ででもあって、往昔海の口の城主が甲州の武士と戦って、戦死したと言伝えられる場所もある。
甲州境に近いところで、私達は人の背ほどの高さの小梨を見つけた。葉は落ち尽して、小さな赤い実が残っていた。草を踏んで行ってその実を採って見ると、まだ渋い。中には霜に打たれて、口へ入れると溶けるような味のするもあった。間もなく私達は甲州の方に向いた八つが岳の側面が望まれるところへ出た。私達は樹木の少い大傾斜、深い谷々なぞを眼の下にして立った。
「富士!」
と学生は互に呼びかわして、そこから高い峻しい坂道を甲州の方へ下りた。
その七
落葉の一
毎年十月の二十日といえば、初霜を見る。雑木林や平坦な耕地の多い武蔵野へ来る冬、浅々とした感じの好い都会の霜、そういうものを見慣れている君に、この山の上の霜をお目に掛けたい。ここの桑畠へ三度や四度もあの霜が来て見給え、桑の葉は忽ち縮み上って焼け焦げたように成る、畠の土はボロボロに爛れて了う……見ても可恐しい。