Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate

Aozora Bunko

「どうです、一枚着ようじゃ有りませんか――」

こんなことを言って、皆な歩き廻る。それでも温熱が取れるという風だ。

それから私は学校の連中と一緒に成ったが、朝霧は次第に晴れて行った。そこいらは明るく成って来た。浅間の山の裾もすこし顕れて来た。早く行く雲なぞが眼に入る。ところどころに濃い青空が見えて来る。そのうちに西の方は晴れて、ポッと日が映って来る。浅間が全く見えるように成ると、でも冬らしく成ったという気がする。最早あの山の巓には白髪のような雪が望まれる。

こんな風にして、冬が来る。激しい気候を相手に働くものに取って、一年中の楽しい休息の時が来る。信州名物の炬燵の上には、茶盆だの、漬物鉢だの、煙草盆だの、どうかすると酒の道具まで置かれて、その周囲で炬燵話というやつが始まる。

小六月

気候は繰返す。温暖な平野の地方ではそれほど際立って感じないようなことを、ここでは切に感ずる。寒い日があるかと思うと、また莫迦に暖い日がある。それから復た一層寒い日が来る。いくら山の上でも、一息に冬の底へ沈んでは了わない。秋から冬に成る頃の小春日和は、この地方での最も忘れ難い、最も心地の好い時の一つである。