Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちどり

千鳥

鈴木 三重吉

Leggi 千鳥 (ちどり) di 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.951 caratteri · 41 schermate

Aozora Bunko

元が安物で脆弱いからであろうけれど、初やなぞに言わせると、何か厭なことがある前徴である。しかたがないから、片足袋ぬいで、半分跣足になる。

家へ帰ると、戸口から藤さんを呼びかけて、しばらく玄関にうろついていたが、何の返事もない。もう一度高く呼んで、今度は小母さんと言ってみたがやっぱり返事がない。家じゅうがしんとしていて、自分の声のはいって行く跡が見えるようである。勝手へ廻って初やを呼んでも初やもいない。変だと思いながら、あり合せの下駄を提げて井戸端へ出て、足を洗おうとしていると、誰かしら障子の内でしくしくと啜り泣きをしている。障子を開けてみると章坊である。足を投げ出してしょんぼりしている。

「どうしたんだ」と問えど、返事もしないでただ涙を払う。

「お母さんはいないの?」と言えば顔を横に振る。

「いるの?」と言えどやっぱり横に振る。

「どうしたんだ。姉さんはどこへ行ったんだい?」と聞くと、章坊は涙の目を見張って、

「姉さんはもう帰っちゃったんだもの」と泣きだすのである。

「おや、いつ?」

「よその伯父さんが連れに来たんだ」

「どんな伯父さんが」

「よその伯父さんだよ」