Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みなみさんのこいびと

南さんの恋人

豊島 与志雄

Leggi 南さんの恋人 (みなみさんのこいびと) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.630 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

」彼は呂律がよくまわらなかった。「うちに、電話がないのは、実に不便です。」

「前以て予定がたたないような泊り方は、どうせ、よろしい泊り方ではありません。」

「そうです。まったく、よろしい泊り方では、ない……。」

「もうたくさん……。早くお茶でもあがって、おやすみなさい。」

「おやすみ、なさい。」

ふらりとのめりかかったのを、またもちなおした。

山根さんは、脱ぎすててある外套をとって、縁側で打振って、次の室に持っていった。そして間もなく戻ってきた。

「何かはいっていますよ。」

彼女は白い封筒を差出した。

「はいって、います。」

彼女は封筒をしらべ、封がしてないのを見て、中を開いた。そして読んだ。――登美子の手紙だ。宛名も署名もないものだ。――彼女は少し蒼ざめ、次に赧くなった。

「なんですか、これは……。」

とんと卓袱台を叩かれたので、南さんは初めて眼を開いた。

「読んでごらんなさい。」

南さんは紙片をとって読んだ。電気にでも打たれたようにきっとなったが、そのままじっと、室の隅に眼をやって考えこんだ。それから次に、不思議そうに山根さんの姿を眺めた。そして彼があまり黙りこんでるので、山根さんはまた紙片をのぞきこんで、も一度読んだ。