Classici giapponesi con furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Leggi 南地心中 (なんちしんじゅう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.205 caratteri · 79 schermate
十九
宝の市の屋台に付いて、市女また姫とも称うる十二人の美女が練る。……
練衣小袿の紅の袴、とばかりでは言足らぬ。ただその上下を装束くにも、支度の夜は丑満頃より、女紅場に顔を揃えて一人々々沐浴をするが、雪の膚も、白脛も、その湯は一人ずつ紅を流し、白粉を汲替える。髪を洗い、櫛を入れ、丈より長く解捌いて、緑の雫すらすらと、香枕の香に霞むを待てば、鶏の声しばしば聞えて、元結に染む霜の鐘の音。血る潔く清き身に、唐衣を着け、袴を穿くと、しらしらと早や旭の影が、霧を破って色を映す。
さて住吉の朝ぼらけ、白妙の松の樹の間を、静々と詣で進む、路の裳を、皐月御殿、市の式殿にはじめて解いて、市の姫は十二人。袴を十二長く引く。……
その市の姫十二人、御殿の正面に揖して出づれば、神官、威儀正しく彼処にあり。土器の神酒、結び昆布。やがて檜扇を授けらる。これを受けて、席に帰って、緋や、萌黄や、金銀の縫箔光を放って、板戸も松の絵の影に、雲白く梢を繞る松林に日の射す中に、一列に並居る時、巫子するすると立出でて、美女の面一人ごとに、式の白粉を施し、紅をさし、墨もて黛を描く、と聞く。