Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

Leggi 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.869 caratteri · 112 schermate

Aozora Bunko

「ワーッ、いけねえ、化物だあ!」

この結果は悪かった。隣部屋に寝ていた娘の民弥が、声に驚いて眼覚めたのである。

「どうなされましたお父様」

まずこう呼ぶ声が聞こえてきた。つづいて起き上る気勢がした。こっちの部屋へ来るらしい。

「いよいよいけねえ、逃げろ逃げろ!」

人形を卓の上へ抛り出すと、窓へ飛びついた風船売の少年、ヒラリと外へ飛び出した。

と、それと引違いに、部屋へ現われたのは娘の民弥で、開けてある窓へ眼をつけたが、「まあお父様の不用心なことは。窓をあけたままで寝ておいでなさる。その上寝言など仰有って」娘らしく明るく笑ったが、例の道化た調子となった。

「弁才坊さん弁才坊さん、民弥さんを嚇してはいけません。『ワーッ、いけねえ、化物だあ……』などと仰有ってはいけません。さあさあお眼覚めなさりませ。さあさあお話し致しましょう」佇んだまま見下ろしたが、窓から射し込む月光に照らされ、寝ている父の寝姿が、何となく異様に見えたらしい。「おや」と云うと跪坐いた。

「お父様!」と声をかけ、額へ指をふれて見た。「あっ!」と叫びを上げたのは、父の額が水のように、冷々と冷えていたからである。