Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はんこう
反抗
豊島 与志雄
Leggi 反抗 (はんこう) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 140.121 caratteri · 282 schermate
彼は俄に寒さを。覚えて、両手を胸に押しあてながら震えた。その時、懐に押し込んでる金入を着物越しに感じて、それを机の上に抛り出すつもりで、懐から引出して、何の気もなく一寸開いてみた。……中には紙幣が十円と五円と二枚はいっていた。その朝野村から借りてきたままのものだった。
彼は惘然と考え込んだ。お清が何のつもりでそういうことをしたのか、彼には合点がゆかなかった。然し兎に角心あってしたことには違いなかった。彼女は細かなのを――二三円だけを彼の金入から引出して、他は皆自分の金を使ったのだ。ああいう身分の女としては全く意外なことだった。そして……「空っぽかも知れないわよ」と冗談のように云った彼女の言葉が、彼はその時気にも止めなかったが、今はっきり思い出された。
考えていると、それからそれへと種々なことが頭に浮んできた。もはや彼女から遁れられないような気がした。
お清と高井英子と同一人ではないかという疑問は、それが消え失せた今となっては、根のない馬鹿げたもののように思われた。然し、その疑問が今迄如何に重大な働きをしていたかを、彼ははっきり知ることが出来た。余りにも事もなく消え失せはしたけれど、その後では、凡ての事情が一変してしまった。