Classici giapponesi con furigana
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とりかえしものがたり
取返し物語
岡本 かの子
Leggi 取返し物語 (とりかえしものがたり) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.882 caratteri · 28 schermate
源兵衛さまも同じこと。一日じゅう、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。なんと言う験の悪い日だろう。わたしゃもう草臥れてしまった』
(材木のところへ来て、その一つに腰かけ、膝へ頬杖突いて吐息つきながら思わず御影堂の棟を顧る。はっとして合掌。)
おくみ『「忘れまいぞえあのことを」「忘れまいぞえあのことを」(此の言葉を言うとき念仏の句調、以後同じ)ああ、わたしとしたことが、また瞋恚の焔炎に心を焼かれ勿体ないお上人さまをお恨み申そうとしかけていた。「忘れまいぞえあのことを」「忘れまいぞえあのことを」お上人さまとて折角出来た此の御堂に、そりゃ常住おいでなさり度いのではあろうけれど、聴けばいろいろ御公事に就いての御奔走、それを欠いてまでわたし一人の為めにお待ちなさりょう筈もなし。こりゃお留守なのが当り前だ。だが源兵衛さんはどうしても腹が癒えぬ。わたしが今日こそ年一日の暇を取って、訪にょうとは兼々知らしてあるのに。家へ行けば母御ばかりがぼんやり。奉公前によう逢うたあの追分けの松の根方に佇んで待って見ても、それかと思うはまぼろしばかり。ほんの姿は遂に来もせず、――それとも若しや源兵衛さんに心変りでも、――ひょっとして若しそんなことにでもなっていたら、わたしゃどうしたらよかろうかしらん。