Classici giapponesi con furigana
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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
Leggi 古き小画 (ふるきミニエチュア) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.298 caratteri · 140 schermate
スーラーブは、顎をつき出すように、太い頸を牡牛のように構えている捕虜をじろりと視た。そして、手を振って、彼方に行けという合図をした。捕虜はその方を向き、スーラーブの側を通って陣の奥へと歩き出した。カタ、カタ、木の足枷が鳴った。スーラーブが、高地の端でこんな時を費していたうちに、陣の後方では、着々、戦端を開く準備が進められた。大天幕を、足早に多くの兵が出入し、伝令が、隊から隊の間を駛(はし)った。亢奮した空気が、ツランの陣中にざわめき始めた。スーラーブをさがして、一人の兵卒が馳けて来た。
「万端用意が整いました。御命令を待つと申せということです」
スーラーブは、黙ってうなずいた。イラン方でも、先刻から統一ある運動が開始されていた。二人ばかり騎馬の戦士が、活気ある様子で彼方此方騎り廻す前後に武器を執った兵卒が、そろそろ隊列を整えかけていた。それ等の黒い姿や馬の蹄の下から時々ぱっぱっと、白い砂埃が蹴立てられるのまで、総て小さく手にとるように見える。
三十七
ツランの全軍の三分の一が、四列縦隊で高地を降り始めた。スーラーブは、栗毛の馬に騎って兵等の進行を見守った。