Classici giapponesi con furigana
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ふるいど
古井戸
豊島 与志雄
Leggi 古井戸 (ふるいど) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.433 caratteri · 43 schermate
そしてそれを彼へも勧めた。
「一寸腹工合を悪くしてますから。」
やっとのことで彼はそれだけ云って、黙って西瓜をかじってる松木の前から逃げるように、二階の室へ上ってしまった。そして初めて安らかに息がつけた。
俺は一体何をしてるんだ、と自分で自分に云ってみても、松木の前に出ると、彼はどうにも出来なかった。
松木が家にいると、なぜか光子までが、二階にやってくるのに足音を忍ばしていた。そして彼のところへ来て、ほっと息をつくらしかった。
「やっぱり夢をみるんですか。」
「ええ時々よ。」
「じゃあ、私がいいものを借してあげましょう。これを枕頭に置いて寝ると、悪い夢なんかちっとも見ないんです。いいですか、そう思いこんで、ぐっすり眠るんですよ。」
今迄躊躇していたが、彼は思いきって、一尺足らずの小さな短刀を取出して渡した。
「あら、これ刀ね。」
「ええ。」
気味悪そうに膝の前に置いて眺めてるのを、彼はしいて手に持たしてやった。
「枕頭に置いて寝ると、決して悪い夢なんかみないんですよ。」
「だって、見付るわ。」
「構やしません。私がむりに持たしたんだと、そう云ってごらんなさい。」
「叱られやしないかしら。