Classici giapponesi con furigana
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こちや
古千屋
Leggi 古千屋 (こちや) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2883 caratteri · 6 schermate
家康は茶色の羽織を着、下括りの袴をつけたまま、式通りに直之の首を実検した。そのまた首の左右には具足をつけた旗本が二人いずれも太刀の柄に手をかけ、家康の実検する間はじっと首へ目を注いでいた。直之の首は頬たれ首ではなかった。が、赤銅色を帯びた上、本多正純のいったように大きい両眼を見開いていた。
「これで塙団右衛門も定めし本望でございましょう。」
旗本の一人、――横田甚右衛門はこう言って家康に一礼した。
しかし家康は頷いたぎり、何ともこの言葉に答えなかった。のみならず直孝を呼び寄せると、彼の耳へ口をつけるようにし、「その女の素姓だけは検べておけよ」と小声に彼に命令した。
三
家康の実検をすました話はもちろん井伊の陣屋にも伝わって来ずにはいなかった。古千屋はこの話を耳にすると、「本望、本望」と声をあげ、しばらく微笑を浮かべていた。それからいかにも疲れはてたように深い眠りに沈んで行った。井伊の陣屋の男女たちはやっと安堵の思いをした。実際古千屋の男のように太い声に罵り立てるのは気味の悪いものだったのに違いなかった。
そのうちに夜は明けて行った。直孝は早速古千屋を召し、彼女の素姓を尋ねて見ることにした。