Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

Leggi 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 241.558 caratteri · 480 schermate

Aozora Bunko

直訴を遂げてしまうまでは死ぬまじ、倒れまじと、出血を防ぐために切腹した上をきりきりと巻き止めて、苦痛をこらえつつ伊豆守のご参着を待ちうけていたにちがいないのです。それが証拠には、さし入れた名人のその手に、にじみ出ていた生血がべっとりと触れました。もとより事は急、壮烈きわまりない訴人のその覚悟を見ては、ちゅうちょしている場合でないのです。とっさに、名人は血によごれたその手をさっと開いてさし出すと、目にものをいわせつつ伊豆守の処断を促しました。

「かくのとおり、みごとな覚悟にござります。殿、ご賢慮のほどは?」

「いかさま必死とみゆるな。命までもなげうって直訴するとは、あっぱれ憎いやつめがッ。そち、しかと、――のう!」

「はッ」

「あいわかったか、予に成り代わって、ふびんなそのふらち者じゅうぶんに取り調べたうえ、ねんごろにいたわって、しかとしかりつけい!」

「心得ました。ご諚どおりしかりつけまするでござります」

「いつもながら小気味のよいやつよのう。――ご僧! ご案内所望つかまつる」

「はッ、控えおりまする。ご老中さまご参拝イ」

しいんと身の引き締まるような声とともに、宰相伊豆守の烏帽子姿は、なにごともなかったもののごとく、威風あたりを払いながら、さっそうとして山門の奥に消え去りました。