Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate

Aozora Bunko

そのままシトシトと行き過ぎてしまった。実に堂々たる態度であった。二人の武士は一言もなく、そのあとを見送るばかりであった。

と、一人が吐息をした。「オイ観世、ひどい目にあったな?」

「大先生とは知らなかった。平手、これからどうするな?」

「うむ」といって思案したが、「いい機会だ、旅へ出よう。そうして一修行することにしよう」

「武者修行か、それもいいな。ではおれもそういうことにしよう。但しおれは剣はやめだ。おれはおれの本職へ帰る。能役者としての本職へな」

意外、意外、また意外!

さて一方老武士は、ポンポンと鳴る鼓を追って、ドンドンそっちへ走って行ったが、松平出雲守の邸前まで来ると、音の有所が解らなくなった。はてなと思って耳を澄ますと、やっぱり鼓は鳴っていた。どうやら西の方で鳴っているらしい。でそっちへ走って行った。そこに立派な屋敷があった。松平備後守の屋敷であった。しかしそこまで行った時には、もう音は聞こえない。しかしそれより南の方角で、幽かにポンポンと鳴っていた。

「素早い奴だ」と舌を巻きながら、老武士は走らざるを得なかった。式部少輔榊原家の、裏門あたりまで来た時であったが、はじめて人影を見ることが出来た。