Classici giapponesi con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate
と書いてあった。二つ合わせると「あい」であった。「ハテ『あい』とはなんだろう?」思案せざるを得なかった。「これを漢字に当て嵌めると『鮎』ともなれば『哀』ともなる。『間』ともなれば『挨』ともなる。そうかと思うと『靉』ともなる。いずれ何かの暗号ではあろうが、さて何んの暗号だろう? そうしていったい何者が、こんな悪戯をするのだろう?」
考えてみれば気味が悪かった。とはいえ大剛の彼にとっては、恐怖の種とはなりそうもなかった。
それはとにかく、銀之丞は、駕籠の中に見た女の俤を、忘れることが出来なかった。
「女は確かに娘らしい。あの『主知らずの別荘」の、家族の一人に相違ない。それも決して女中などではなく、丑松の話したお嬢さんでもあろう」
女色に淡い彼ではあったが、不思議と心をそそられた。
二度目の暗号を渡された日の、その翌晩のことであったが、彼はフラリと宿を出ると、別荘の方へ足を向けた。それは月影の美しい晩で、そぞろあるきには持って来いであった。少しあるくと町の外れで、すぐに耕地となっていた。その耕地を左右に見て、一本の野良道を先へ進んだ。土橋を渡るともう荒野で、地層は荒々しい岩石であったが、これは海岸に近いからであった。