Classici giapponesi con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate
「人間の急所はまず眉間だ。眉間を目掛けて投げてこい」「それじゃ思いきって投げますべえ」
二人は左右へス――ッと離れた。あわいはおおかた十間もあろうか、一本の鉄扇を右手に握り、周作は笑って突っ立った。
「はじめの一つはお毒見だ」
こういいながら甚内は、手頃の小石を一つ握った。
「それじゃいよいよやりますだよ」叫ぶと同時にピュ――ッと投げた。恐ろしいような速さであった。と周作の鉄扇が、チラリと左へ傾いたらしい。カチッという音がした。つづいてドンという音がした。石が鉄扇へさわった音と、板の間へ落ちた音であった。
「やり損なったかな、こいつアいけねえ。が、二度目から本式だ」
甚内は二つ目の石を取った。とまたピュ――ッと投げつけた。今度は鉄扇が右に動き、カチッという音がして、石は右手へ転がり落ちた。
「ほう、こいつも失敗か」甚内は呆れたというように、口をあけて突っ立ったが、「よし」というと残りの石を、一度に掬って懐中へ入れた。
「ようござんすか、先生様、今度は続けて投げますぞ」
「うん、よろしい、好きなようにせい」
その瞬間に甚内の左手が、懐中の中へスルリとはいり、石を握った手首ばかりを、襟からヌッと外へ出した。