Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate

Aozora Bunko

と米八は、何をにわかに考え出したものか、しみじみとしていい出した。

「どこがよくって惚れたのか、妾にゃまるっきり見当がつかない」

「オヤ、今度は恩にかけるのかい」

次郎吉はもっけな顔をした。

「なあに、そうじゃないけれどね、お前さんのためにゃほんとにほんとに、髪まで切られているんだからね」

「おっと、そいつアいいっこなしだ」

こうはいったが次郎吉も、これには多少こたえたらしい。

「どうだ、それでもすこしは伸びたか?」

「三月や半年で女の髪が、なんでそうそう伸びますかよ」米八は額で睨むようにした。

「あれは一生の失敗だった」むしろ次郎吉は慨然と、「厭がるお前を無理にすすめ、一幕うったほどでもねえ、たいした儲けもなかったんだからな」

「罪もない観世様をそそのかし、色仕掛けで巻き上げたまでは、まあまあ我慢をするとして、ご親友だとかいう平手さんに、駕籠から雪の中へ引き出され、鼓を取られたあげくのはてに、ブッツリ髷を切られたんだもの、悪い役ったらありゃしない」

「あんまり来ようが遅いので、心配をして迎えに出たら、アッハハハ、あの活劇さ」

「助けにも来ず、薄情者! 思い出すと腹が立つよ」