Classici giapponesi con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate
「それ見るがいい、本音を吐いたな」「これだけの事件の衝突り合いだ。もう少しこのおれを刺戟して、創造的境地へ引き上げてくれても、よかりそうなものだと思うのだがな」「ふん、何んだ、そんなことか。刺戟、昂奮、創造的境地! 何んのことだか解りゃしない」
「おれは駄目だ!」と観世銀之丞は、悄気たみじめな表情をした。「おれの所へ来るとあらゆる物が退屈そのものに化してしまう」「我がままだからよ。貴公は我がままだ」「おれの心は誰にもわからない。おれは気の毒な人間だ」「そうだとも気の毒な人間だとも」「この地にもあきた。江戸へ行きたい」「おれもあきた。江戸へ帰ろう」
翌日二人は追分を立ち、中仙道を江戸へ下った。
この頃不思議な盗賊が、江戸市中を横行した。鼓を利用する賊であった。微妙きわまる鼓の音が、ポン、ポン、ポンと鳴り渡ると、それを耳にした屋敷では、必ず賊に襲われた。どんなに奥深く隠して置いても、きっと財宝を掠められた。大名屋敷、旗本屋敷、そうでなければ大富豪、主として賊はこういう所を襲った。不思議といえば不思議であった。屋敷を廻って鼓が鳴る。それ賊だと警戒する。無数の人が宿直をする。