Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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るそんのつぼ

呂宋の壺

久生 十蘭

Leggi 呂宋の壺 (るそんのつぼ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.375 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

水の中にある船体は、汐路に乗って岸へ曳かれているらしいが、泥堆にでも乗りあげたら、一挙にバラバラになり、誰も彼れもみな海に投げだされてしまう。二十日も飲み食いしない弱りきった身体では、高波にひとつ叩かれたらそれで最後だ。

普通の身体なら、こんな海は片手でも泳げる。せっかく壺を手に入れたのに、つい鼻の先に陸を見ながら、果敢ない最期を遂げるのかと思うと、無念でならない。

モニカのそばへ行くと、モニカは助かったのだと思いこんでいるらしく、痩せ細って眼だけになったような顔で、ほんのりと笑ってみせた。

吉之丞は笑いかえして、

「おいが連って泳いであげますけん、元気を出さんといきまっせんばい。今夜はしっかり休んでおきなさい」

モニカはうなずくと、眠るつもりになったふうで、うっすらと眼を閉じた。

翌日、朝の五時ごろ、突きあげられるような衝動を感じて眼をさました。吉之丞は、

「やった」と叫びながら跳ね起きた。

つづいて二度、大きな震動があって、物見台がグラリと傾いだ。吉之丞はころげだそうとする壺を、やっとのことでおさえつけた。

船体はうまいぐあいに泥堆に乗ったらしくて、意外に堅固なようすをみせ、吉之丞が案じていたようなことにはならずにすんだ。