Classici giapponesi con furigana
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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
Leggi 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) di 森田 草平 (もりたそうへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.183 caratteri · 112 schermate
「して、お前さんは?」
小平太はぎょっとして聞き返した。
「わたくしは同じお長屋に住んでおりました井上源兵衛の娘でございます」
「ほう、井上殿のお娘御! そういえば、さっきから見たように思ったのもむりはない」と、小平太はあたりを見廻しながら低声につづけた。井上源兵衛といえば、九両三人扶持を頂いて、小身ながらも、君候在世の砌りはお勝手元勘定方を勤めていた老人である。「それにしても変った所でお目にかかりましたな。で、お父上はその後御息災でいられるかな」
「はい」と言ったまま、娘はきゅうに下を向いて、はらはらと涙を滾した。
「ふうむ?」と、小平太は相手の容子を見い見い訊ねてみた。「では、何か変ったことでもござりましたか」
「は、はい」と、娘は前垂の端で眼の縁を拭って、ちらと背後を振返りながら、これもあたりへ気を兼ねるように小声でつづけた。「父は昨年の暮に亡くなりました。それから引続いて母が永い間の煩いに、蓄えとてもござりませねば、親子揃って一時は路頭に迷おうとしましたが、長屋の衆が親切におっしゃってくださいまして、この春からここで勤めさせていただくようになったのでございます」