Classici giapponesi con furigana
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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
Leggi 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) di 森田 草平 (もりたそうへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.183 caratteri · 112 schermate
が、彼はすぐに両国の方へ引返そうとはしないで、何と思ったか、元来た坂本の道を真直に千住の大橋に向って歩きだした。その時はもう雪も止んで、十四日の月が皎々として中天に懸っていた。通りの町家は皆寝鎮まっていた。前を見ても後を見ても、人通りはない。自分では酔わぬつもりでも、脚はかなりふらふらしていた。彼はその千鳥足を踏み締めながら、狂人のように、どんどん雪を蹴って駈けだした。
大橋の上まで来た時、小平太ははっとしたように吾に返った。
「いったい、俺はどこまで行く気だろう? それよりも、今はもう何剋だろう?」
彼は橋の上に立ち停ったまま、頭の上の北斗星を見遣った。
「そうだ、丑の上刻! それまでに宿へ帰らなければ、もう間に合わない!」
彼は背後から鉞で殴打されたように躍り上った。
「もう何剋だか知らないが、千住の大橋から両国までは一里あまり、丑の刻までには行き着かれそうにもない。俺はとうとう時刻を逸した。俺は同盟から外れてしまった。俺は人外に堕ちた、蛆虫同様になってしまった。もう明日から人にも顔は合わされない。同志は今ごろ俺を何と言ってるだろう、何と言って罵っているだろう? 安兵衛は? 勘平は?」