Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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そうせきしとわたし

回想 子規・漱石

高浜 虚子

Leggi 回想 子規・漱石 (そうせきしとわたし) di 高浜 虚子 (たかはまきょし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 115.187 caratteri · 231 schermate

Aozora Bunko

私はそこでどんな風に案内を乞うたか、それは記憶に残って居らん。多分古道具屋の上さんが、

「夏目さんは裏にいらっしゃるから、裏の方に行って御覧なさい。」とでも言ったものであろう、私はその家の裏庭の方に出たのであった。今言った蓮池や松林がそこにあって、その蓮池の手前の空地の所に射があって、そこに漱石氏は立っていた。それは夏であったのであろう、漱石氏の着ている衣物は白地の単衣であったように思う。その単衣の片肌を脱いで、その下には薄いシャツを着ていた。そうしてその左の手には弓を握っていた。漱石氏は振返って私を見たので近づいて来意を通ずると、

「ああそうですか、ちょっと待ってください、今一本矢が残っているから。」とか何とか言ってその右の手にあった矢を弓につがえて五、六間先にある的をねらって発矢と放った。その時の姿勢から矢の当り具合などが、美しく巧みなように私の眼に映った。それから漱石氏はあまり厭味のない気取った態度で駈足をしてその的のほとりに落ち散っている矢を拾いに行って、それを拾ってもどってから肌を入れて、

「失敬しました。」と言って私をその居間に導いた。私はその時どんな話をしたか記憶には残って居らぬ。