Classici giapponesi con furigana
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トソンラン
土城廊
金 史良
Leggi 土城廊 (トソンラン) di 金 史良 (きむさりゃん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.752 caratteri · 52 schermate
昨年の今頃に老人は独り息子を強盗罪で連れて行かれ、そのため老婆は気違いにまでなっていた。洋服男さえ見れば彼女はいつもの発作をおこし「人攫い、人攫い!」と喚き廻るのだった。彼は息子が冤罪とばかり頑なに信じているので、思い出せばやり場のない憤怒と絶望の念を抑え得ぬのである。
「……悴あ監獄さ行くだし婆あと来ちゃ気い違うだ」老人は深く溜息をついた。
「全く人間ちゅうて偉えもんだで。わしゃ一体何して生きてるだか自分にも分らねえ……だがわしあこんなに立派に生きとるだからな」
「心さ静めるだよ、だら気も楽になるだに」
先達の婦は慰めるように老人の顔をちらっと眺めた。欠け歯をむき出しにゆがめた顔は髑髏か何ぞのように婦をぞっとさせた。
「何も怒ってやしねえで……」
ぶるっと言葉尻を食いしゃぶる老人はやはり怒っているのだった。
元三は不意に婦の方へ首を突き出して、彼女の抱いている子供にウォーとおどけてみせた。子供がびっくりして泣き出したので、爺はてれ臭そうにくくくとわらいつつ自分の蓬髪に手をやった。
「餓鬼さ泣くでねえかよ」と婦は邪慳に爺をたしなめた。
先達はひーんと手洟をかみ、取り繕うように老人をいたわった。