Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
トソンラン
土城廊
金 史良
Leggi 土城廊 (トソンラン) di 金 史良 (きむさりゃん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.752 caratteri · 52 schermate
婦と炳吉は咄嗟に転げるように飛び出した。間に合わなかった。ぶすっという水の音が聞えたきりである。
「元三爺! 元三爺!」
それらしいものがもはや数間先を流されている。婦は叫びながら岸伝いに走る。炳吉はばたばた流れに足をつけて追駆けた。爺は山男で水は知らないのだ。まだ岸から幾らも離れていないので、時々足を地べたに突き附けて起ち直ろうとしてはばたばたする。何か叫ぼうとしているようでもある。う、う、う、悲鳴を上げた。その拍子に水をがぶがぶ呑まされるのに違いない。だが確かに幾声か聞き取れたのである。
「姐……さん……逃げ逃げろ……う、う」
「元三爺、元三爺!」婦はあらん限りの声を張り上げながら駆けて行く。時々辷りこけたりのめったりする、どたりと倒れては又起き上った。
「う、う……」
「元三爺、しっかりするだよう、元三爺!」
「う、逃げ……逃げろ……」
喉苦しい声はそれきり聞えなくなった。水は赤く河は黒かった。何度か白いものが浮んで見え又消えながら、ますます深い所へ巻き込まれるように流されて行く。渦巻く濁流はべろりと舌を舐めずっていた。婦はそれでもよろめきながら死物狂いでついて走った。