Classici giapponesi con furigana
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もぐらとらくばん
土鼠と落盤
黒島 伝治
Leggi 土鼠と落盤 (もぐらとらくばん) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.823 caratteri · 36 schermate
「……。」親爺は、燻った四畳半で、足のない脚だけ布団にかくして、悲しげな顔をしていた。
「トロ、なか/\重いだろう。」
「誰れも働く者がなきゃ、お芳さんのようにこの長屋を追い出されるんだ。追い出されたら、ドコへ行くべ。」
息子は、親爺の眼に光ったものを見た。
――米も安いし、雑用もかゝらねえし、それに家賃は只だから、これで東京あたりの一円五十銭も二円もにかけ合うべ。――
僅か七十銭の賃銀を、親じはこんな考え方で慰めていた。その只の長屋も、家に働く者がなくなれば追い立てをくうのだ。
市三は、どれだけ、うら/\と太陽が照っている坑外で寝ころんだり、はねまわったりしたいと思ったかしれない。金を出さずに只でいくらでも得られる太陽の光さえ、彼は、滅多に見たことがなかった。太陽の値打は、坑内へ這入って、始めて、それにどれだけの値打があるか分ってきた。今は、蟻のような孔だらけの巨大な山の底にいる。昇降機がおりて来る竪坑を中心にして、地下百尺ごとに、横坑を穿ち、四百尺から五百尺、六百尺、七百尺とだん/\下へ下へ鉱脈を掘りつくし、現在、八百尺の地底で作業をつゞけている。