Classici giapponesi con furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Leggi 地上 (ちじょう) di 島田 清次郎 (しまだせいじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 175.250 caratteri · 350 schermate
この二人の少女に隣合って一つの寝床が空のままであった。汚れた敷布の上に丹塗の枕が二つ並んだままにある。それは仲のよい菊龍と富江の「共同の」床であった。彼女等は大抵一緒になることはなかったので一つの床を二人で使っていた。たまに一緒になったときは一つの床にもぐりこんで、夜がしらじら明けるころまで情人の噂などを話しながら寝入るのを常としていた。昨夜は恐らく何処かで外泊りするか、でなければ二階の一室に――かもしれなかった。
空の床に離れて、襖をはずした敷居越しに、この家の公娼が眠っていた。粗い黄色と黒と小豆色の縦縞の掛蒲団をまるめるようにして、ぶく/\肥った真っ白い太い双手を投げ出して、まるまる肉のついた横顔を見せて口をあけて本当に深く寝入っているのは鶴子という三十近い女だ。村の機織工場の女工、街の莨専売局の女工、彼女の少女から青春時代はそうして送られた。まるまる肥えたはちきれそうな肉付と滑らかな皮膚は先天的に飽くを知らぬ欲念の蔵だった。彼女は二十三のとき娼婦になった。それは彼女にとってパンを与える職業であり、快楽を与える貴重なる泉であった。彼女は職業のために疲労することがなかった。